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相続コラム

2025年10月05日

複雑な相続問題を解きほぐすコツ

梅田遺産相続解決センター

どこから手をつけてよいかわからない相続問題
長年にわたり放置された相続問題を抱えている方は、実は想像以上に多いです。親や祖父母の名義のままになっている土地や家、誰がどの財産を受け取るべきなのか不明な預金、疎遠な親族との連絡が途絶えているケースなど、相続の現場は思っている以上に複雑です。「手をつけようと思っても、何から始めたらいいのかわからない」という声を、専門家のもとにも頻繁に寄せられます。
この「どこから手をつけていいかわからない」という状態こそ、相続問題が放置される最大の理由です。問題が複雑なほど、人は心理的に距離を置こうとします。しかも、身近な親族との話し合いを伴うため、感情的な負担も重なり、結果的に「もう少し落ち着いたら」と先延ばしにしてしまいがちです。
しかし、現行法では2024年4月から「相続登記の義務化」が施行されました。被相続人の死亡を知ってから3年以内に登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。つまり、「いずれやるつもり」では済まされない時代に突入しているのです。さらに、登記を怠ったまま時間が経過すると、相続人が亡くなり代襲相続が発生し、関係者が雪だるま式に増えることになります。
とはいえ、焦る必要はありません。相続問題は、適切な順序と方法で整理していけば、必ず道筋が見えてきます。大切なのは、「全体をいきなり解こうとしない」ことです。手続の順序を明確にし、小さく区切って進めることで、必ず解決の糸口を見つけることができます。そこで本稿では、複雑に絡み合った相続問題を解きほぐすための現実的なコツを、順を追って紹介していきます。

問題を分解する
複雑な相続問題を解決する第一歩は、「問題を一気に解こうとしない」ことです。相続の手続が難航する多くのケースでは、複数の相続が連続して発生しています。たとえば、祖父の相続が未処理のまま祖母が亡くなり、その後父親も亡くなっている――といった具合です。このような「連鎖相続」は、誰がどの時点で何を引き継いだのかがあいまいになりやすく、整理に時間がかかります。
ここで有効なのが、時系列の整理です。まず、誰がいつ亡くなり、その時点での法定相続人が誰だったかを一覧にします。戸籍謄本を取得し、家族関係図を作成するだけでも、状況が一気に明確になります。さらに、相続人のうち誰が既に亡くなっているかを把握することで、代襲相続がどの範囲に及ぶのかも見えてきます。
不動産が絡む場合には特に注意が必要です。日本の登記制度では、「中間省略登記」が原則として認められていません。つまり、祖父から孫へ直接登記を移すことはできず、「祖父→父→孫」という順番で一件ずつ処理する必要があります。すべてをまとめて登記しようとすると手続が破綻するため、古い順から順序立てて進めるのが鉄則です。
また、相続関係を分解することは、心理的な負担を軽くする効果もあります。すべてを「大問題」と捉えると身動きが取れなくなりますが、「まずは祖父の相続から」「次に父の相続」と小分けにして考えると、取り組みやすくなります。書類の収集や登記の申請も、分解して一つずつ行えば、全体の構造が徐々に見えてきます
複雑な相続の本質は、「情報の整理不足」にあります。全体像を俯瞰できるように分解して整理することで、初めて現実的な手続の道筋が見えてきます。焦らず、手順を分けて考えることが、相続問題を解きほぐすための第一の技術です。

今できることは片づけてしまう
相続の手続は、感情の整理と実務の整理が同時に求められる難しい作業です。そのため、つい「もう少し気持ちの整理がついたら」「他の人が動いたら」と後回しにされがちです。しかし、相続は時間が経てば経つほど、難易度が増していきます
たとえば、相続人の一人が亡くなってしまえば、その人の配偶者や子どもが新たに相続人となります。そうして相続人の数が増えれば、全員の同意を得るのがますます困難になります。長期化すればするほど、「誰も責任を取らない」「誰も動かない」という膠着状態に陥ってしまいます。
さらに、相続手続きには「期限」が定められているものもあります。代表的なのが相続放棄と相続税申告です。相続放棄は相続開始を知ってから3か月以内、相続税申告は10か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎると放棄が認められなくなったり、延滞税や加算税が発生したりします。これらの期限は延長が難しいため、気づいた段階で素早く動くことが重要です。
また、「今できること」にもいくつかの段階があります。すぐにできるのは、戸籍の収集、財産目録の作成、金融機関への残高証明書請求などです。これらは専門家に頼まずとも進められる部分です。次に、関係者への連絡・情報共有です。親族に一斉に連絡を取り、進行状況を定期的に共有することで、協力体制を築きやすくなります。
「後でまとめてやろう」と思うほど、後で苦労します。相続は「思い立ったが吉日」です。今日できる書類請求や連絡は、今日のうちに済ませてしまいましょう。それが、相続全体を前に進める最大のエンジンになります。たとえ小さな一歩でも、動き出すことで全体が動き始めます。

敵は面倒くささ
遺産分割が進まない最大の原因は、感情的な対立よりもむしろ「面倒くささ」にあります。特にもらえる財産が少ない相続人ほど、「自分は関係ない」と考え、協議書の確認や印鑑証明書の取得を後回しにしがちです。「ハンコを押して送ってください」とお願いしても、なかなか反応がないのはこのためです。
この「面倒くさい」という感情をいかに緩和するかが、円滑な相続の分かれ道になります。まず重要なのは、相手に「手間を取らせない工夫」をすることです。たとえば、返信用封筒や手続の説明メモを同封する、必要な箇所に付箋を貼っておくといった些細な工夫でも、相手の心理的ハードルは下がります。
また、メールや郵送だけで済ませようとせず、可能であれば直接会って話をすることも効果的です。顔を合わせることで信頼関係が生まれ、協力を得やすくなります。特に高齢の相続人には、書類よりも口頭説明の方が理解しやすいことが多いです。会って丁寧に説明することで、「面倒なことを押し付けられている」という不満を軽減できます
さらに、協議を円滑に進めるために、全体のまとめ役を立てるのも一案です。相続人の中で比較的公平な立場にあり、コミュニケーション能力がある人が推進役を務めると、話がスムーズにまとまります。法律上は全員平等ですが、実務上は誰かが調整役になることで全体が動き出します。
ときには、「少し多めに分けるから協力してほしい」と譲歩することも必要です。もめ事を避けるためのコストと考えれば、結果的に全体が早く片づきます。感情のしこりを和らげることが、相続を前に進める最大の力になります。手続の敵は「他人」ではなく「面倒くささ」そのものだと心得ることが大切です。

最後はコスパも考えよう
相続手続は「やらねばならない義務」であると同時に、「どこまでやるのが合理的か」という判断も必要です。特に、不動産の数が多い家庭では、登録免許税や専門家報酬が大きな負担になります。たとえば、地方にある固定資産税評価が数十万円の土地を相続登記するのに、登記費用がそれ以上かかるというケースもあります。
このような場合、単に「義務だから」という理由だけで無条件に登記を進めるのは現実的とは言えません。たとえば、自身の代では登記せず、将来的に自分の遺産を子どもへ生前贈与し、子どもに貴方の相続放棄をしてもらうことで、最終的に相続登記義務を免れるという方法もあります。これはやや特殊な手段ですが、費用対効果を重視した合理的判断として検討する価値があります。
また、不要な土地や空き家の処理に悩む場合は、「相続土地国庫帰属制度」を活用する選択もあります。一定の要件を満たせば、国が引き取ってくれる制度です。草刈りや境界確定など事前準備が必要ですが、長期的に見れば維持費の負担から解放される可能性があります。
さらに、相続税の節税対策も「コスパ」を考える視点で整理するべきです。専門家に依頼すれば費用はかかりますが、控除や特例の活用で結果的に数十万円単位の節税になることも少なくありません。つまり、費用を「支出」ではなく「投資」として捉える柔軟さも必要なのです。
相続は、法的義務・感情・経済合理性の三つが交錯する複合的な問題です。どこまでコストをかけ、どこで手を引くのか。その判断を冷静に行うことが、長期的には最も賢い選択になります。コスパを意識することは、単なる節約ではなく、家族全体にとって最善の未来を設計するための現実的な知恵なのです。

まとめ
相続問題は、手をつけなければ永久に解決しません。むしろ、放置するほど関係者が増え、書類も複雑化し、感情的なしこりも深くなっていきます。重要なのは、最初の一歩を踏み出す勇気です。全体をいきなり処理しようとせず、まずは古い相続から順に分解し、できる部分から確実に片づけることが、遠回りのようでいて最短の道になります。
そのうえで、相続を進めるうえで最大の敵は「面倒くささ」です。この心理的な壁をどう乗り越えるかが、手続の成否を左右します。協力してもらえない人を責めるのではなく、相手が動きやすいように配慮する――そんな小さな工夫が、停滞していた相続を動かす原動力になります。
そして最終的には、法的義務とコストのバランスを取ることも必要です。無理をして赤字の相続登記を行うよりも、別の制度や手段を活用して、現実的な解決策を選ぶ方が家族にとって良い場合もあります。
複雑な相続を完全に「美しく」解決することは難しいかもしれません。しかし、「少しずつ確実に前進する」という姿勢があれば、必ず終わりは見えてきます。焦らず、諦めず、そして現実的に――それが、複雑な相続問題を解きほぐすための最も確かなコツです。
当センターにはこうした複雑な相続問題が数多く寄せられています。お悩み事がございましたらご遠慮なくご相談ください。

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