これまで遺言書の作成は公正証書遺言が一般的でした。
自筆証書遺言は要式が厳格で無効になるケースも多く、また、隠匿や改ざんのリスクもあるためです。
他方で、公正証書遺言は親族以外の証人を用意しなければいけないなどの不便がありました。
ここで、法務局における自筆証書遺言書保管制度が開始した事に伴い、
この制度の活用が広がっています。
自筆証書遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局に預け、画像データ化して保管する制度です。
遺言書保管制度を利用することで、上記の自筆証書遺言のデメリットを軽減したり
解消したりすることができます。
さらに、保管にあたって遺言書の形式面の要件をチェックしてもらえるため、
遺言書が無効となる危険がなくなり、法務局が保管するため改ざんなどの危険もなくなります。
また、検認の必要もなく、遺言者が亡くなった場合には遺言の存在が通知されるなど、
様々なメリットがあります。
Gさんの父親は相続で子どもたちが揉めないよう遺言を作成したいと考え、
相続財産の整理と、どれを誰に相続させるかをノートに書き出しました。
Gさんが市役所の無料法律相談で遺言書の作成方法について尋ねたところ、
公正証書の作成が望ましいとのことでしたが、証人を二人も準備するのが大変であることや、
将来Gさんの父親の気持ちが変わるかもしれないことなどから、
公正証書の作成は少し仰々しいと感じていました。
その事を当センター長に相談したところ、自筆証書遺言書保管制度の紹介を受け、
Gさんの父親の意向に沿ったものだと感じ、遺言書作成問題をスッキリ解決することができました。