被相続人には自分の財産を自由に処分する権利があります。
他方で、相続制度には、遺族の生活保障や潜在的持分の清算という目的もあります。
そこで、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するために遺留分制度が作られました。
遺留分は、遺言書によって不公平な相続分の指定が行われ、他の相続人と比較して
非常に少ない財産しか相続できない人や相続分がない人が生じた場合に問題となります。
また、一部の相続人に対して過大な生前贈与や死因贈与が行われた場合にも、
他の相続人の遺留分が侵害されるケースがあります。
これらの場合、遺留分を侵害された人は、遺留分を侵害して相続財産を得ている人に対して、
遺留分侵害額請求権を行使することができ、近時これを行使するケースが増えています。
Bさんが父親の葬儀に参列した際、兄から父親の遺言書を提示されました。
その内容は、僅かながらの遺産のうち、預貯金や金融資産はすべて兄に相続させ、Bさんには
築70年超の建物と、父の友人(無職)に対する貸付金だけを相続させる内容となっていました。
Bさんが当センター長に相談したところ、Bさんの兄が生前に多額の贈与を受けていたこと、
Bさんが相続した財産の価値がほぼ0円であることなどを裁判所で立証し、
遺留分侵害額請求権を行使することによって、兄から一定の金額を回収することができました。