認知症を発症してふらっと出て行って帰ってこない、そういう高齢者が増加しています。
遺産分割協議は全員の同意が必要なので、
こうした方が1人でもいると手続きを進めることができません。
相続人のなかに音信不通のような行方不明者がいる場合には、まず行方不明者の住所を
特定する必要があります。そのうえで、行方不明者の住所がわかったら、連絡を試みます。
判明した住所に相続が発生したことや遺産分割協議が必要なことなどを説明した手紙を送ります。
それでも、不在で返信されてきたり、受け取りはされたようだけれども返事がないようなケースは
あります。
どうしても相続人が行方不明であったり生死不明であったりする場合には、
不在者財産管理人の選任を行わなければなりません。
不在者財産管理人は、行方不明者の代理人となる人のことで、
家庭裁判所に申し立てることで選任できます。
また、認知症でふらっと出て行って帰ってこないケースのような場合は、
失踪宣告の申立てを行い、7年間経過して音沙汰がなければ
その方は亡くなったものとみなして相続手続を進めることもあります。
Mさんの父親には認知症の気配がありましたが、正式に認知症と診断されたわけではないいため、
Mさんら家族は少し油断していたことを後悔しています。
ある日、Mさんの父親が日課の散歩に出かけたまま帰って来なかったのです。
Mさんらはすぐに警察に相談して、近所での事故情報を探りましたが、
Mさんの父親らしき人の事故情報は確認されませんでした。
そこで当センター長に相談したところ、失踪宣告(普通失踪)の申立てを提案されて
その手続きを進めました。7年後、結局父親はかえってきませんでしたので、
家庭裁判所での手続きを進め、Mさんの父親の事をすべて整理することができました。