相続放棄とは、相続発生の際に相続財産となる資産や負債などの権利や義務の一切を
引き継がず放棄することです。
一般的な相続の場合、相続財産はプラスの財産(不動産や有価証券、現金など)だけではなく、
マイナスの財産(借金や保証債務など)もすべて引き継ぐことになります。
プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合、相続放棄を選択すれば、
亡くなった人の権利や義務を一切受け継がないようにすることが可能です。
しかし、相続放棄を受けるためには、亡くなったことを知ったときから3か月以内に、
相続放棄をすべきか否かを家庭裁判所へ申述しなければなりません。
相続放棄をする際には、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で相続放棄の申述が
必要です。相続放棄が認められた場合、その相続人は初めから相続人ではなかったとみなされます。
Fさんの母親が亡くなり、その相続財産を調査していると、
僅かな預貯金と家財に、遠方の築60年の建物が発見されました。
しかしその建物の名義はFさんの祖母のままであり、Fさんの叔父・叔母とは連絡がとれません。
当センター長に相談したFさんは、この建物の名義をFさんに移転するのは不可能ではないが
費用がそれなりに発生すること、建物を相続してもその後解体費用の支出が想定されることなどを
ふまえて相続放棄を提案され、家庭裁判所で手続きを行いました。